Hardox 550とは?

Hardox 550は優れた耐摩耗性が要求される用途に適した、調質済みの耐摩耗性マルテンサイト鋼板です。550ブリネルの硬度を実現し、優れた耐摩耗性、耐割れ性、工場での作業性を兼ね備えています。

Hardox 550は板厚10~50mm (3/8–2") 、板幅2800mm (110")まででご用意しています。すべてのHardox製品同様、AccuRollTech™板厚保証に沿って生産されています。綿密に調整された化学組成、高精度の加工工程により、 30 J/-40°Cの標準衝撃靱性と、+/- 25ブリネルの硬度精度を保証します。

詳しい寸法と仕様については製品データシートをご覧ください。

Hardox 550に適した用途

リサイクル業界での一般的な用途はハンマー、シュレッダー、カッターです。掘削・採石業界では刃先のボルト、側板、ライナー等に適しています。

Hardox 550は通常500ブリネルの耐摩耗(AR)鋼板を使用している用途にご利用いただけます。500 HBW鋼板の代わりにHardox 550を使用することで、一般的に耐用年数の60%アップが期待できます。鋼板硬度の低分散により、部品の一貫した耐用年数を実現することで、より精密な整備・保守計画を可能にします。

それまで、耐用年数、とりわけ衝撃摩耗体制についてマンガン鋼に匹敵する鋼板はほとんど存在しませんでした。さらに、12%マンガン鋼に対抗するには500 ブリネルの硬度に加えて、 プロファイリング、溶接、機械加工のし易さが要求されました。

Hardox 550はこれらの課題をすべて解決します。硬度、靱性、工場での作業性に優れた先駆的耐摩耗鋼板Hardox 550はマンガン鋼製にとって代わる究極の摩耗部品材料です。

利点

より長い耐用年数

マンガン鋼の硬度が550 HBWに達することはほとんどありません。たとえ実現しても、究極の衝撃摩耗にさらされた場合に限られます。すべり摩耗の場合、硬度は通常中程度の400~450ブリネルにとどまります。

Hardox 550は摩耗の種類を問わず、つねに550 HBWの硬度を発揮するため、摩耗部品がより長持ちします。

構成要素の一貫性

耐用年数を最大限に伸ばす以外にも、耐用年数を正確に予測することが欠かせません。一貫した硬度を誇るHardox 550なら、部品の耐用年数をより正確に予測することが可能です。

優れた形状安定性を持つHardox 550はどんなに過酷な摩耗にもへこみ、膨張、歪みを生じさせることなく耐え抜きます。これにより生産の効率化や最適化が実現し、摩耗部品の耐用期間をつうじて正常に機能させることができます。

ロジスティックスの簡略化

Hardox 550は入手が容易なため、鋳造品が遠隔地から納品される場合の遅延の心配もありません。お近くの販売店から鋼板を購入し、部品の切断・機械加工後、そのまま導入が可能です。

部品のカスタマイズ

Hardoxには摩耗部品をカスタマイズできる素晴らしい利点があります。工場での作業性に優れ、入手しやすいHardox 550により、部品のカスタマイズが可能です。カスタマイズは自社工場で行っていただけるほか、お近くのSSAB認定工場をご利用いただけます。

作業場での扱いがし易い

鋳造品でできたスペアパーツの形状は金型の形状に制限されます。しかし、耐摩耗鋼板でできたスペアパーツなら、お好みの形状柔軟性を実現します。Hardox 550が誇る工場での高い作業性はまさに不可欠な要素と言えます。マンガン鋼とは対照的に、Hardox 550は標準的な機械や工場設定でプロファイリング、機械加工、溶接が可能です。

さらに、大量の噴煙を排出することなく溶接や切断ができるHardox 550は労働環境の健全化につながります。

なぜHardox 550は500 HBW鋼板より優れた耐摩耗部品を生み出すのでしょうか?

標準的な500ブリネル鋼板のユーザーは、硬度を50 HBW上げることで靱性や作業性を失いたくない、と考えています。Hardox 550はまさにこの点を念頭に作られているため、設計や工場でのルーティンを変えることなく耐摩耗性をアップさせることが可能です。

耐用年数が60%向上

50 HBWは、摩耗状況にもよりますが、通常60%の耐用年数アップを実現します。

これはビジネスの収益性にとってプラスです。つまり、生産性を上げながら、材料費や整備・保守費を軽減できるのです。

割れの安全性

Hardox 550の優れた靱性は3ステップの戦略によって実現しています。

まず、Hardox 550は更なる鋼板加工によって非常に微細粒になっています。次に、鋼板ハンドリング作業の改善により優れた表面仕上げを確保しています。これにより、割れが発生しうる点が減少します。最後に、均一な微細構造と不純物(含有物、残留物、偏析)により靱性が向上します。

工場でのトップクラスの作業性

Hardox 550は500 HBWの耐摩耗鋼板に匹敵する作業特性を誇ります。通常の500 HBW鋼板と同じ機械での溶接や機械加工が可能です。

もちろん、Hardoxユーザーとして技術的専門家の世界的ネットワークを存分に活用いただけます。

Hardox 500からHardox 550にアップグレードする理由

Hardox 500とHardox 550はほぼ同じ特性を持ち、SSABが提供する同じ技術サポートや担当窓口、納品ロジスティックスをご利用いただけます。しかし、その決定的な違いは50 HBWの硬度の差にあります。一見わずかな差に見えるこの違いは、実際の用途では耐用年数を60%アップさせるという劇的な違いをもたらします。

長期的なコスト軽減

Hardox 550の開発では原価単位あたりの追加的性能に焦点が当てられました。たとえ耐用年数をプラスできても、それに伴って鋼板のコストが上がれば、その価値は下がってしまいます。このため、SSABはコスト面の差をはるかに上回る60%という耐用年数の伸びを確保しました。

最適な操作性能

整備・保守の間隔の長期化は生産面のパフォーマンス向上につながります。プラス60%の耐用年数を最大限生かせるかどうかはそれぞれのオペレーションによって異なります。

SSABのアプリケーションエンジニアがお客様それぞれの状況の評価をお手伝いします。費用/収益計算のサポートについてぜひお問い合わせください。

耐用年数をより正確に予測

Hardox 500の硬度分散は+/- 30 HBWです。Hardox 550では硬度分散を +/-25 HBWにまで絞りました。この17%の改善により、耐用年数や整備・保守の時間的間隔をより正確に予測することが可能になります。

このことは、Hardox 550がHardox 500よりさらに均一な鋼板特性を実現していることを保証します。

作業場での取扱いに関するアドバイス

工場での取扱いに関する詳細なアドバイスについては、[]をご覧いただくか、技術サポートまでお問い合わせください。